MESSAGE FROM PRESIDENT

写楽な恋

寛政六年の宵雛に、首のない大黒屋徳兵衛の死体が逆さ十字架に磔となって発見された。その根元には、ひとり娘の那美の許婚で歌舞伎役者の結之助が匕首で自ら喉を突いて倒れていた。
前夜、お役者目明しと異名をとる泪橋の浮多郎は、昨年末に磔で処刑された隠れ切支丹の頭領の土饅頭の上で、やはり首のない死体が逆さ十字架上で燃え上がるのを、成すすべなく見るだけだった。
飛鳥山で、お玉が池で、小塚ッ原で、千住大橋で、残忍な殺しが続き・・・江戸の闇はますます深まるばかり。
そんな中、千住の汐入の浜と向島の葦原で、六六六の人文字となった大勢の隠れ切支丹が焼き殺される事件も起こった。幕府の要人による切支丹狩りと喝破した東洲斎は、日本の魔王たらんとする枝野嘉右衛門と対決する。
片や、東洲斎は洒落斎の助けを借りて五月の歌舞伎興行の役者の大首絵を描きはじめる。 しかし、お上は描き溜めた下絵を保管する版元の蔦屋重三郎の倉庫を焼き討ちにし、吉原に放火して東洲斎を討とうとする。
東洲斎は抜刀術の達人でニヒルな美剣士・・・。10か月で150点も版行された東洲斎写楽の役者絵は、じつは東洲斎と洒落斎のふたりの合作によるものだった。そして、寛政六年の江戸を騒がせた「写楽」は、忽然と歴史の闇へ消えていった・・・。

ミステリーロマン「写楽な恋」「東洲斎江戸切絵図」に次ぐ「寛政捕物夜話」シリーズ待望の完結編!

写楽な恋

いつの間にか江戸にタイムスリップ!江戸の街中や人物の描写が巧みだ−−
蔵前の札差で起きた凶悪事件を皮切りに、次々に起きる怪事件。
事件のカギを握る東洲斎の正体は?
林完次氏(写真家・作家)推薦!

写楽な恋

ミステリアス写楽が江戸のミステリーを斬る!! 悪魔と隠れ切支丹のバトルが始まった!
十ヶ月だけ役者絵で江戸を騒がせ、忽然と消えた写楽――。三ノ輪の寺に髪を刈られ、顔を焼かれた女の死体が投げ込まれた。連続する殺人事件。謎が謎を呼び、江戸に戦慄がはしる。泪橋の新米目明し浮多郎は、写楽の助けで初手柄をと焦る。蔦屋重三郎ゆかりの歌麿、京伝、北斎、馬琴たちが、悪魔が降臨した江戸の街を欲に憑かれて走る。写楽と浮多郎は果たして真相に迫れるか。